秩父山中 花のあとさき
NHKドキュメンタリー史上最高傑作の評価もある「秩父山中 花のあとさき」は素晴らしき感動作です。
秩父最北部、群馬県境近くの山村に住むみなさんの日々の生活を生き生きと描き、楽しみや悲しみ、苦悩などをていねいに描いています。
お年寄りだけの、たった5軒の村ですから、近い将来消滅することが予想されます。そんな中で必死に、誠実に生きるみなさんの表情は明るく、魅力に富んでいます。
特に、主人公の扱いであるムツさんは素晴らしい。高齢になり、畑仕事ができなくなると、自分の畑を潰して、ご主人の公一さんと花を植え始めました。
「いつか、人々が山に帰ってきたときに、きれいに咲いた花があったら嬉しかろう。」そんな思いだけで、花を植え続けました。
2020年の今現在、村には当時の方は一人も住んでいません。3年前に全員の方がなくなりました。ムツさんも11年前に他界されています。でも、多くの人たちがムツさんの生きた証を探しにこの村を訪れます。この日もたくさんの人が来ていました。
もうムツさんも誰もいないけど、私はこれからもこの村に行きたいと思います。そこに、ムツさんの心が生きている限り。